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FGeC015 (Sakurano Cup #2)

解説 : FGeC015(F)

標高が数メートルの低地に整理された農地が広がっていて、「田」と「無壁舎」が混在しています。農地なので無壁舎は園芸用施設と考えてよさそうです。また、(畑と施設の混在と異なり)田と施設の混在は、従来多かった田が何らかの理由で施設に転換し、その過程で両者が共存しているケースが多いと考えられます。そこで、①一定の広さの平野、②田が多い(多かった)、③施設園芸が盛ん、という条件で、対象を絞っていきます。その際、田→施設の変化が多い理由を考察することで、当たりをつけていきます。

田→施設にはいくつか理由がありますが、その一つは、地理院地図の「田」の定義から見えてきます。地理院地図の「田」は、水稲、蓮、い草、わさび、せりなどの栽培地を表します。これらの作物のうち、畳表の原料であるい草は、近年、作付面積、収穫量、農家数の減少が顕著です。この背景には、生活様式の洋式化による畳表の需要低下、中国産の安価な畳表の輸入増加が挙げられます。国内のい草のほとんどを生産する熊本県の八代地方では、多くの農家がい草生産から撤退し、トマトなど野菜栽培(施設・露地)を拡大させています。

実際、干拓による低地が多く、従来い草の生産が盛んで、近年は野菜栽培が盛んである八代平野を探索することで、正解は熊本県八代市とわかります。田→施設をもってい草の産地だけに絞ることは難しいですが、平地であること、施設栽培が盛んなこと(熊本県、福岡県、宮崎県、高知県、愛知県、茨城県など)からいくらか探索範囲を絞ることもできます。

参考文献:

  1. 高柳長直(2004)「量産型輸送園芸産地における輸入野菜増加への対応~熊本県八代地域におけるトマト産地の事例~」『学芸地理』59、pp. 1-12
  2. 「【熊本特集(3)JAやつしろ】イ草から野菜へ転換」農業協同組合新聞、2019年1月15日 https://www.jacom.or.jp/noukyo/tokusyu/2019/01/190115-37118.php (2024年11月17日最終閲覧)

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