FGeC009 (Sakurano Cup #1)
解説 : FGeC009(F)
- 地形:南東方向に徐々に低くなる斜面地となっています。高いところは標高200メートル超、低いところは30メートル未満です。地図の北東部にはかれ川が見られ、水はけのよい扇状地か火山の麓であると推測できます。河川には堰が連続して設置され、砂防工事が施されていると予想できます。
- 土地利用:畑が広がり、施設園芸が目立ちます。また、一車線以上の道路や水路の整備状況、ある程度整形された農地に注目すると、計画的に一体的な農地の整理がされたことが推測できます。
問題を解くうえでは、上記の地形の情報から、色別標高図などを用いつつ絞り込んでいくということでもよいと思います。一方で、土地利用の情報の使い方は難しいかもしれません。しかし、計画的な農地の整理が、一般的な耕地整理だけでなく、大規模災害からの復興でも実施されうることを考えてみると、災害と結び付けることで場所の推理を助けてくれるかもしれません。
実際に探索すると、正解は長崎県南島原市(の旧・深江町)とわかります。旧・深江町は島原半島の雲仙岳の東側に位置しています。北東部の河川は「水無川」という名前で、火山砕屑物が堆積し水はけがよくかれ川となっています。1990年代前半、旧・深江町は雲仙岳の噴火に伴う大規模な火砕流や土石流の被害にあいました。その後、水無川には砂防ダムや堰が建設されたほか、旧・深江町では道路や水路の整備を含む面的な区画整理が実施されました。従来は葉タバコや果樹、茶の露地栽培が盛んでしたが、農地整備に伴い野菜栽培に適した農地が増えたこと、復興支援のため施設園芸用ハウスの導入に補助金が出たことのため、施設や露地で野菜を育てる農家が増えました。
参考文献:観山恵理子(2023)「大規模自然災害からの復興事業による施設園芸産地の形成~長崎県島原半島雲仙普賢岳噴火災害を事例として~」『野菜情報』2023年9月号、pp. 40-50
問題画像の場所:リンク